まん☆たつ おまけ話(3)

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 テキストとは関係ない話題があったら、ちょこちょこ書きまス。
 今回は何の話かというと。 

 思い出したことがありましてん。
 その昔、NHK教育テレビで、少女マンガ描き方講座があったんですわ。講師は里中満智子でね。全10回ぐらいかな? それを当時、まだマンガ家に憧れていた中学生か高校生ぐらいだったわたくしは、「なんて素晴らしい番組が出来たんだろう!」と大喜びで、ビデオに録り、それはそれは繰り返し見ていたものでした。
 このコンテンツを始めてそのことを思い出し、その番組の詳細がNHKの公式サイトかどっかで記録が残ってないかなあ、としばらく捜してみました。
 番組の記録は無かったのですが、代わりに。

 

 番組のテキストを見つけました。
 ネット古書店で315円だったので、思わず。送料なんだかんだで600円したけど。買ってどうすんだ、という気もしたけど。
 そして買ってから判明した、番組の詳細。

 正式な番組名は、『NHK趣味百科 少女コミックを描く』
 放送は1992年7月〜9月、毎週火曜日の夜9時半から放映していました。
 92年ってーと、江口は17歳です。ど真ん中ですね。

 関係ない話ですが、江口は高校時代、演劇部でした。なんてゆうか、ベタだなあ、と思ってます。もちろん狙ってやったわけじゃなくて。なので、世間がベタに走るのは、それを狙ったからではなく、踏み込んだ先の道はベルトコンベアになっていて、そこに行き着いてしまうことが既に決まってしまっているからなのでしょう。ついでにいうと周囲ももちろん似た人間が集まっていました。もっと言うと江口はイラストクラブ(課外活動の部活ではなく、授業としてのクラブ)にも所属していました。ごめんもう、いろいろと。

 思い出話はこのくらいにして。番組の話に戻ります。
 番組は30分、前半で描き方テクニック、道具、ストーリー構成について、いろいろと。
 印象的なのは、カラー原稿を描く回で、「じゃあ実際にやってみましょう」と里中氏がアシスタントにカラートーンを渡した時のこと。いくらこすっても原稿にトーンがくっつかず、これはどうしたことだと困っていたら、実はそれはトーンじゃなくて転写シールだった。明らかなNGにも関わらず、それをそのまんま放送するNHKの大らかさに、子供心(高校生だけど)にいろいろ感じずにはいられませんでした。里中氏が「これはこれでいい味が出ますよね〜」と、無理矢理なフォローをしていたのも覚えています。
 で、後半では『アトリエ訪問』として少女漫画家の仕事場へ行き、実際に原稿を描いている姿を見せて貰えました。これが何とも、いい刺激を与えてくれる映像でして。やっぱりプロの作業現場は違うなあ、と。純粋に嬉しかったです。
 ちなみに、訪問した漫画家は。大和和紀・富永裕美・美内すずえ・竹宮恵子・庄司陽子・一条ゆかり・吉田まゆみ・谷地恵美子・もりたじゅん・萩尾望都・高口里純・あさぎり夕・池田理代子、でした。そうそうたる面々ですな(でも正直、高校生時分で知っていた漫画家はこの半分でして。ハギオモト、誰それ? という感じでした)。
 なんでかどこの仕事場にも猫がいました。

 テキストの中身を見てみます。

 

 中身はこんなかんじ。

 全部紹介するとダラダラ続くので、ざっと。

 それぞれのテーマは
第1回 絵を描いてみよう
第2回 デッサンをしよう
第3回 構図と遠近法
第4回 コマ割りとふきだし
第5回 処理の仕方
第6回 雰囲気作り
第7回 カラー原稿の描き方
第8回 キャラクター作り
第9回 ストーリーの作り方(1)
第10回 ストーリーの作り方(2)
第11回 一冊のコミックを作ろう
第12回 仕上げの仕方、プロのコツ
第13回 プロからのメッセージ
 です。
 まあ、普通の教則本と同じですね。特にツッコむところもありません。

 が。

 当然のことながら、サンプルの絵はすべて里中先生のものです。
 番組のために新たに描いたものと、先生の発表作品から引用したものと、いろいろあります。
 その2つを見比べてみると。

 明らかに番組のために描いたものが雑です。これを載せることで、先生のお名前に傷が付きやしないかと心配になるぐらいです。
 もっと言うと、発表作品でも、表紙に使ったような気合いと効果入りまくりの絵と、ちっちゃいコマのモブを描いたラフな絵とを一緒に並べるのは酷すぎると思います。
 他にも、「デフォルメをしよう」って、1人のノーマルな女の子の立ち絵を、いかつい顔にして「青年コミック風」とか、無理あります。「ニューウェーブコミック」って、なんだそれ。

 興味ある人は、たぶんまだネット古書店に安価で残ってたので、入手してみるのもよいかと。

 おまけのおまけ話。

 

 テキストの後ろにあった広告。
 角川書店の月刊コミック誌『あすか』です。当時350円(現在は420円)。表紙から察するに、看板作品は『X(エックス)』ですね。
 「豪華執筆陣!」として名前が並んでいるのは、アトリエ探訪にも出てきました、竹宮恵子・谷地恵美子・高口里純・萩尾望都・木原敏江・大島弓子・赤石路代・楠圭、ほかです。
 1992年から2008年‥‥16年という歳月の長さを感じる次第でございます。

 ではまた。

 

まん☆たつ
http://manga.suteki.aikotoba.jp/index.htm

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