●第9号
それでは、予告通り今回が最終回です。
その前に。例の、デッサン人形応募券の話ー。
ご当選は、4月1日にメールを送ってこられた『楔』さまです。おめでとうございますー。ぱふぱふぱふー(口パーカッション)。 ココの更新と同時に、メールを送っております。万一届いていなかったら、再度ご連絡下さい。 その他のみなさまも、たくさんの感想を送って下さってありがとうございました。
なお、内訳は。全員、応募券希望でした。さすがに送料を負担してまで道具箱が欲しい、という方はいませんでしたね。
はい、ではメインの内容に移ります。
今号の付録は、トーンヘラ。スクリーントーンを、ごしごし原稿に貼り付けるためのものです。んまあ、こんなんまで専用道具があるんですね。裁縫箱に同じようなの入っていた気がするけど。 でもって、今号のもう一つの付録、模様柄トーン(チェック)。
使い途、無さそうー。
『@ 和風の作品に使う』『A 服の柄に使う』『B 布地の小物に使う』と使用例がありますが、逆に言えばそれにしか使えない。あと、和風の作品に、って、無理があると思います。そして改めて考えれば、A服=B布地、用途は同じだ。もっといえば@和風だって、使用例では着物柄。結局布地か。
はい、では絵の描き方一般講習です。
‥‥これがね。
わたくし、今号の購入前に、よそのブログで絵のサンプルを見て笑いました。 あまりにスゴかったので、いつもならテキストの購入は後回しにするのに、入荷と同時に買いました。だって早く見たかったんだもん。
今号の課題は『子供(女の子)の顔を描く』 完成見本のように、明るくてかわいらしい女の子を書きましょう。真正面から見たアップショットで年齢は8〜10歳、標準的な体型でブラウスとベストを着ています。髪型はセミロングで耳を出しています。また、左上の髪をヘアゴムでまとめて、おでこをだしています。
その課題がこちら!!
うへえ。
いやもう。あまりのインパクトに、まんま載せちゃったよ。
これまではいちおう著作物だからボカシたり何なり小さく抵抗はしていたんだけど。これはだって、実物を見て貰わないことには江口の気持ちが伝わらない。なんでしょうコレは。どう判断すればいいんでしょうこれは。
分かります、言いたいことは分かりますよ。大人と比べて子供の顔、これまで江口がさんざんに欲していた、小手先のテクニックの話になってます。 以下、コラム。
【POINT!】子供の顔の特徴 (a) と(b) は、顔を簡単な図形で表しています。(b)のように頭を大きく顔の輪郭は丸く、目と耳を大きく、鼻を小さくすると、子供の顔になります。また、黒目を大きくすると、明るく人なつっこい性格の顔になります。ここで紹介している各パーツの比率は、あくまでも初心者用の基本的なものです。比率に関しては、絵柄や書く人の好みによって違うので、色々と試して自分に合った比率を見つけて下さい。
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原文ママ(笑)。 完成見本は、このポイントに則って書かれています。目と耳を大きく、黒目を大きく。いわば、極端な形にデフォルメされた女の子です。
で、たぶん、たぶんなんですけどね、思ったこと。
たぶん、この人本来の絵柄じゃないんだろうなあ、と。 無理矢理、こんな顔をサンプル絵にしろと描かされたのではないかと。 次のページで、ヘアゴムの解説をしているコラムで、この女の子の横顔を描いているんだが、こっちは言うほどヘンじゃないんだ。たぶんこっちが本来の絵柄に近い方なんだと思う。そう考えると、イラストレーターも大変だ。ま、一方的に思ってるだけなんですが。 ちなみに、この横顔、なんで言うほどヘンじゃないのかを観察してみる。 耳の大きさが普通だ。 正面向きでは、目の大きさと同じサイズで描かれている耳が、横向きでは半分になり、位置もやや下側に。そう、人間の耳ってそんなに大きくないですよ。 正面と横向きでデッサンの狂うイラストレーター、というふうに言い換えることも可能だ。いったいどっちなんだろうな。
余談ですが。 このサンプル幼女絵。 江口の描く幼女絵にそっくりです。 そう、江口も幼女は、目を大きく鼻を小さく描いてました。何故かって? それは昔に読んでた描き方講座やらなにやらではそんなふうに説明をされていたからだよ。 まあ、人間の顔が20年やそこらで変化するわけじゃない、同じモノの描き方の解説なんだから、昔と今とでそうそう違ってくるわけじゃない。 でも、気持ち悪いのは。 この左上のヘアゴム留め。これまで全く同じなんですけど。小さい丸が2個付いているヘアゴムで、左側を留める。何で。 覚えてはいないけど、たぶん江口は何かを参考にして、こんなヘアゴムで幼さを演出するテクニックを身につけたのだろう。 ひょっとしてわしが20年前に参考にしていた描き方講座やらなにやらは、このまん達スタッフが昔に刊行した何かではないのか。時を越えた再会か。もしかして感動するところなのかここは。 余談おわり。
後は、いままでの怒り男の子と、既婚女の手を描いて、レッスン終わり。 あ、江口は描きませんよ、今回もね。
はーい、次はストーリーから会話の方へ移るよ。
『人には言えないエピソードを探しだせ!』だそうです。ストーリーとはエピソードが盛り込まれてこそナンボなんです。基本となるエピソードは3種類。『他人には言えないようなエピソード』『心の中に残っている過去』『伏線を使ったエピソード』。これらを使いこなせれば、なんともステキなストーリーが出来上がります! 「実はお父さんは地球人じゃないの」とかね。わあい、なんてステキなエピソード。 実際にストーリー作りに組み立てるとすれば。
【設定】 |
→【導入部】 |
→【エピソード1】 |
→【エピソード2】 |
→【エピソード3】 |
→【クライマックス】 |
主人公は伝統ある実業団の駅伝チームのエース。 妻と息子アリ。 |
会社のゴタゴタで、チーム解散。 みんなリストラされる。 再就職活動がんばる。 |
妻と息子がでていった。 他人には言えないね。 |
息子はパパを信じてる。 手には昔に優勝したときのタスキがあった。 過去の思い出。 |
メンバー再結成。 スポンサーになってくれそうな人は、再就職活動先の面接官。 おお、伏線だ。 |
新メンバーで駅伝大会。 がんーばれー♪ まけーるなー♪ | ま、こんな感じ。 ではでは、これをふまえて。 エピソードをまとめてストーリーを作ってみようー。オー!
以下、サンプル。
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@ 驚いています。 いったい、この女性は何を見て驚いているのか? この先にはいったい何があるのでしょう? |
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A 素敵で奇麗な女性がイケメンに囲まれて歩いています。 声をかけていますね。知り合いなのか? それとも、何か尋ねているのか? |
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B すらりとしていた女性が、あんなにふくよかになって、いったい彼女に何が起こったのだろうか? |
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C 女性がプヨプヨした太っている男性を紹介しています。 この男性は、女性の恋人なのか? 弟なのか? それとも友だちなのか? |
@〜Cの絵柄を、好きなように組み合わせてストーリーを作ってみましょう。順序はどうなってもOK。
【解答例】 C黒髪女、友人女にデブ彼氏を紹介される @後日、友人女とデブ彼氏を見掛けてビックリ! Bデブ彼氏を痩せさせると宣言した友人女、逆におまえが太ってるじゃん。デブって伝染するのか。プークスクス。 【導入エピソード】友人女、いちおう痩せさせる努力してたんだけど、だって彼氏の食べてる姿ってステキなんですもの★ Aさらに後日。友人女、痩せてた。ついでに男も痩せてた。でもってすごいイケメン。
よし、江口も考えよう。
B黒髪女、街中で昔の同級生を見つける。うわー、学生時代からデブだったけど、まだデブか。そして隣の男もデブかよ。Wデブか。げへらげへら。 【導入エピソード】学生時代をあれこれイロイロ思い出してみよう。 @後日、同級生をまた見掛けてビックリ! A痩せた上にモテモテか。どうした。何があった。 【導入エピソード】きっと人には言えないことをやってしまったのね。なんてこと。 C実はこのデブ男は、ランプの精で3つの願いを叶えてくれます。 【導入エピソード】ああそういやこの女は、学生のころから、そんなアヤシげな事が大好きだったわよねえ。
いかがなもんでしょう。
はい、ではいよいよ最後。まんがフォーラムです。
『まんが作品は共同作業で出来上がる』『アングルの射手になれ!』『まんが家になるための資質とは?』『人物の位置関係を明確に』 なんか、徐々にフォーラムの内容が増えていってる気がします。たまたまでしょうか。
【※なんでか後少しだっていうのに、めっきり更新が止まってしまいました。更新というほどの量でも無かったのですがね。あと数行だけ追加↓】
で、まんがフォーラムの話ね。 最近、ここがなんとも読み応えのある記事になってきていますね。 全部を書き出すとタイヘンなことになるので、特に気に入った(笑)記事をピックアップ。
『まんがはローリスク・ハイリターンの商品』 もし、まんが家が作品を描いている途中で失敗し、もう1度描き直すことになったとしても、そこで失った経費は、紙代やインク代、トーン代といったもので済むでしょう。映画で一度撮ってしまったものを再び最初から撮り直すとなれば、そこには多くの人件費やコストがかかります。 映画はようやく完成してもヒットしなかったら大赤字ですが、まんが雑誌は看板作家から新人までコンテンツを揃えています。そうした意味では、日本のまんが作品は商品としてきわめてリスクが少なく、多くのリターンが期待できる仕組みを持っているのです。
要するに、まんが描きなんて紙とペンだけでヤッてんだから、楽な商売ダヨネーと言いたいのでしょうか。 「甘い言葉で言いくるめている」と意図を汲もうとも思ったが、なんともフォローの入れづらい言いようだな。
いえいえ、単に材料費だけの問題じゃないわよ。ひとつのまんが作品が出来上がるまでに、どれだけの人の手がかかってると思ってるの? 例えば『まんが原作者』、『アシスタント』、『編集者』、『写植屋』、『校正者』、『印刷会社』、『装丁デザイナー』、『取次会社』、『配送業者』、『書店』。これだけの人手がひとつの作品に関わってくるのですよ。
でもコレって、つまり商業誌デビューしてからの話なんだよね。 つまり、デビュー前の人間なら、どんなに頑張ったところで紙代とインク代以上の価値はないってことさー。はははーん。
ところで、イキナリ『原作者』の存在から話から始めるのは、新人は原作付きとかコミカライズからやらされるということを暗に言ってるのかしらん。
『まんが家になるための資質をチェック』 □集中力 : 一度描き始めたら友人の誘いやご飯を食べるのも忘れ、長時間机に向かえる。 □憧れ : まんがを読んで感銘を受けたことがあり、目標とするまんが家の先生がいる。 □好奇心 : ふだんの生活の中でよく面白いことを発見する。ニュースや出来事に疑問を持ちやすい。 □感受性 : まんが以外にも映画や絵画、ドラマや小説などに触れるのが好きで、ドラマチックなシーンが浮かびやすい。 □サービス精神 : 面白いことや感じたことはすぐ人に伝えたい。人を楽しませたい。 □こだわり : 納得いく作品を描くためには労力を惜しまない。原稿を大切に扱う。 □向上心 : 編集者の指摘や他人のアイディアを吸収して前向きに考えることができる。 □意志 : 何がなんでもまんが家になって、作品を多くの人に読んでもらいたい。
せっかくなのであなたもチェック、してみませんか? あなたはいくつ当てはまりましたか? 江口はゼロですよ。 まあねえ。いい大人がチャチャを入れるのもナンですが。 大人の扱いやすい子供の育て方みたいな項目が並んでる気がしてならない。ごめん、もっとマイルドな表現をしようか。新卒者対象の就職活動マニュアルみたい。新卒者対象ってところがポイント。いやあ思い出すなあ。「給与や福利厚生についてこちらから尋ねてはいけない」とか書かれてたよ。そんな感じ。
『リアルに描くべきところは手を抜かない』 映画監督の黒澤明は、家の中のカットを撮る際、カメラに写らない方向にもすべて家具や小物を配置し(中略)という逸話があります。これは単なるこだわり以前に重要なことで、撮影の際、人物の位置関係を把握しやすくするためです。例えば、ワンカット撮って、続いて同じ空間で別のカットを撮るとき、助監督は、あらかじめどこに何があるのか図面を描いて把握しなくてはなりません。(中略)まんがの現場でも、背景を入れる際など、アシスタントがどっちに部屋の出口があるのかわからなくなるケースがあります。位置関係は下書きの段階でしっかり把握しておきましょう。
‥‥なんていうかさ、黒澤明も、こんな例え話で持ち出されたら、草葉の陰で泣いてんじゃないのかなあ、って要らん心配してしまったよ。逸話、台無し。 あと、お気づきでしょうか。まだデビューとかなんとか、作品を仕上げるとかなんとか以前の『まんがの達人』の記事の中で、当たり前のようにアシスタントを使っている話になってますよ。てゆうかまんが家って、絶対アシスタントが要るものなのかなあ。まあいいや。
ながながと書きましたが。以上で9号のレビューは終わり。そして同時に最終回。お疲れさまでした。
せっかくなので、次号の予告について触れましょうか。 10号は‥‥。
青鉛筆1本!!
たぶんその次は赤鉛筆だ。そして黄鉛筆だ。たぶんこんな調子で、鉛筆が1本ずつ付いてくるんだ。コレが終わったら、次は絵の具が1色ずつ。
うわ、なんか逆に楽しみになってきた。 これからどんな調子で付録がチョボくなっていくのか! ステキ記事が満載になっていくのか! 素直な青少年を洗脳していくのか!! ちなみにココを書いている時点で、本誌は11号まで刊行されている。どれも、店頭に在庫がまだある。 買おうかなぁ。レビューをするしないは別として。 最終号まで配本(配本※発売日に書店に本を配られること。配る数を決めるのは取次会社。販売実績とかが無かったら減らされることも)されたら、最終号だけでも買おうかなあ。
それではみなさま、長らくのおつきあいありがとうございました。 メインコンテンツたちは普通に動いてますので、お暇があればそちらもゼヒ。

おまけ。 江口の職場での、まん達コーナー。 どさくさに紛れて、テキトーなハウツー本を置いてまス。あと、勝手に「資料にどうぞ」って言い張って、新紀元社のアレとかイーグルパブリッシングのコレとか。
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